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歌曲の紹介

浜千鳥 / Hamachidori

[作詞/作曲]
鹿島鳴秋/弘田龍太郎

青い月夜の 浜辺には
親をさがして 鳴く鳥が
波の国から 生まれ出る
ぬれた翼の 銀のいろ

夜鳴く鳥の 悲しさは
親をたずねて 海こえて
月夜の国へ 消えてゆく
銀の翼の 浜千鳥

『浜千鳥』というと、実を言うと私は、岩手県釜石市の日本酒の銘柄を連想してしまいます。 口あたりがさらりとした、美味しいお酒です。 そして、酔っ払いの千鳥足・・・。実際のところ、「千鳥」という名前の鳥はいないようですが、 ○○千鳥という種類でしたら耳にしたことがあるかもしれませんね。

このチドリ科の鳥は世界中にいて、海岸や草原など見通しのよい所に生息しているそうです。 海に行くと見かける、砂の上をすばやく走り、さっと止まる、あの可愛らしい鳥のことです。 千鳥の歌は他に「ちんちん千鳥」(北原白秋:詩/近衛秀麿:曲)も有名です。

さて、作曲した弘田龍太郎(1892-1952)は高知県安芸市の出身。父は教育者で、母は 一紘琴のの名手だったそうです。東京藝術大学で学び、在学中に『七つの子』を作曲。 他にもたくさんの代表曲、『雀の学校』、『叱られて』、『春よ来い』、『靴が鳴る』などなど、 優しくて楽しい、童謡を残しています。子供が好きだったのかな?晩年には、幼児音楽教育 にも携わっていたようですから、きっとそうだと思います。

そして、作詞は鹿島鳴秋(1891-1954)東京出身。お名前は「かしまめいしゅう」と読みます。 童謡・童話作家です。『浜千鳥』は1919年(大正8年)に、新潟県柏崎市に住む、文学友人 桑山太一を訪ね、二人で裏浜海岸を散歩していた時に手帳に記した作品と言われています。 その年の『少女号』で、この作品は発表されました。

詩碑は、この作品の舞台となった柏崎の他に、鹿島が晩年住んでいた千葉県の南房総の 和田町にもあるそうです。レコードは1932年(昭和7年)に立花喬子さんの歌唱で発売されました。

鹿島と弘田は年齢も近ければ、この世を去った年も2年しか違わないんですね。弘田はこの曲が 随分とお気に入りだったと伝えられています。お二人はどんなお話を交わされていたのでしょう?

親を探して月夜に翼を広げて飛んでゆく、鳥の悲しみを歌った曲ですが、長調で書かれています。 学生時代は、詩を読んで「悲」のイメージしか持てなかったのですが、歌っていくうちに、もしかしたら 前向きな要素もあるのではないか?そう思えるようになったのですが、どうでしょうか?

歌唱については、この曲は1オクターブの音域で作曲されています。つまり、ドから上のドまでの 範囲です。最高音が一番出しやすい音の調にしても、最低音はオクターブ下の音ですから、 とても歌いやすく、1曲を通して自分の得意な音域で伸々と歌えます。特にテノールでの演奏効果 は高いと思います。